はじめに:とりあえずメモをとれ?
新卒で入社して間もない頃、ほとんどの人が一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
「わからなかったらメモをとっておいてね」
「メモしておけば忘れないから」
そう言われて、いそいそとノートを準備したものの――
「で、何を書けばいいの?」
と、手が止まってしまった経験、ありませんか?
先輩や上司から飛んでくる指示は、専門用語も多くてスピードも早く、
聞き返す余裕もない。
それでも、「メモをとらないと怒られそう」「とにかく書いておこう」と焦ってしまい、
結果として自分でも読めない謎のメモが量産されてしまう。
この記事では、そんな新人の“メモ迷子”状態を脱するために、
「何をどう書くのか」「なぜメモが必要なのか」をストーリーと共に深掘りしていきます。
困惑エピソード:「何を書けばいいのかわからない」
4月のある日。新卒で入社したばかりの佐藤さん(仮名)は、
チーム会議に参加した直後、先輩からこう言われました。
「今日の議事録はあとで共有しておいて」
「えっ、議事録…? そもそも何を話してたんだっけ…」
慌ててノートを見返してみても、
殴り書きのメモは「クラウド移行」「例の件再検討」など、
単語ばかりが並んでいて文脈がない。
このあと上司に確認しても、「そこはもう決まったはず」「君もいたよね?」と
プレッシャーを感じてしまい、結果的に何も共有できないまま数日が経ってしまいました。
「メモをとること」への3つの誤解
❌ 誤解1:「全部書けば安心」
新人にありがちなのが、「とにかく全部書けば後で思い出せる」という考え。
しかし、会話のすべてを逐語的に記録するのは難しく、
その結果、要点がつかめない「ゴチャゴチャメモ」になってしまう。
❌ 誤解2:「清書しないと失礼」
見やすいようにきれいにまとめて提出しようとするあまり、
時間をかけすぎてしまい、メモ本来の目的である「即時の情報保持」から遠ざかる。
❌ 誤解3:「フォーマットがないと無理」
「この通りに書いてね」と明確な型があれば楽ですが、
実際の現場では即興力が求められます。
メモに完璧な型はなく、「自分が読み返して理解できること」が一番大事です。
先輩や上司が「いいメモ」と感じる瞬間
では、先輩たちはどんなときに「この子、ちゃんとメモしてるな」と感じるのでしょう?
- 質問したときにすぐメモを見返して「それは●月●日の〜ですね」と答えられたとき
- 曖昧な指示(「なるはやで」「ざっくりまとめて」など)に具体的な確認を返してきたとき
- 過去の経緯や判断理由を把握した上で相談をしてきたとき
つまり、「メモを通じて相手の意図をくみ取り、主体的に動こうとしている」姿勢が見えると、
評価につながりやすいのです。
✏️ 実践!メモのコツとフォーマット
🔹 書くべきポイントはこの5つ!
- 日時と担当者:
- いつ、誰の話だったのか
- 目的や背景:
- なぜその指示が出たのか、課題は何か
- 具体的な指示・ToDo:
- いつまでに、何を、どうすればいいのか
- 確認事項・不明点:
- あとで聞き返したいこと、わからなかった部分
- 優先度・注意点:
- 特に気をつけること、依存関係
🔹 例:議事録メモ
2024/04/10 会議メモ
参加者:田中部長、川村課長、佐藤(自分)
目的:業務フロー変更の概要共有
・クラウド移行 → 現状の手順では工数多い(田中)
・5月までにベンダーと調整 → 川村担当
・自分:次回会議までに現行フロー整理して提出
確認事項:
→ クラウド移行に伴うコスト算出は誰が?(保留)
💡 メモが変える信頼とコミュニケーション
ある日、別部署への異動が決まった佐藤さん。
引き継ぎのために自分のノートを見返していたところ、
部内の細かいルールや業務手順、過去のやり取りがしっかり書かれていたおかげで、
「この資料、すごく助かります!」と後輩たちから感謝されました。
また、上司からは「しっかり振り返ってるね」と評価され、
異動先でも早い段階で信頼を得ることができたそうです。
メモをとることは、単なる“忘備録”ではなく、
「次に活かす」ための準備であり、信頼の構築なのです。
📚 より良いメモをとるためのアクション
- メモは「見る前提」でなく「使う前提」で書く
- 誰にでも伝わる表現を意識(略語や省略を控える)
- 1日1回、メモを読み返して補足・整理する習慣をつける
- 先輩や同僚に「これで伝わりますか?」と聞いてみる
- 自分なりのテンプレートや記号をつくってカスタマイズ
まとめ:「メモをとれ」と言われたあなたへ
最初はうまくとれなくて当然です。
でも、試行錯誤しながら「何を書くか」「どう書くか」を自分なりに磨いていくことで、
メモは確かな“仕事の武器”になります。
「ちゃんと見てる」「理解してる」と相手に伝わるメモがとれるようになると、
あなたの評価も、信頼も、驚くほど変わってきます。
今、何もわからない状態からのメモでも大丈夫。
そこには、未来のあなたを助けるヒントが必ず詰まっているはずです。
さあ、今日から“使えるメモ”を始めてみませんか?