学校の教室や塾、会議室など、あらゆる場所で活躍してきた「チョーク」。
今ではホワイトボードやデジタル機器に置き換えられつつありますが、
今もなお黒板に書く筆記具=白いチョークという印象を持つ方は多いのではないでしょうか。
でも、ふと疑問に思いませんか?
「なぜチョークは白いのか?」「なぜカラーチョークより白が主流なのか?」
「そもそも黒板ってなぜ黒いの?」——そんな日常に潜む素朴な疑問を、この記事でわかりやすく解き明かします。
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チョークの基本構造と原料
チョークの正体は“石”だった?
チョークの主成分は、炭酸カルシウム(CaCO₃)という白い粉状の物質です。
これは貝殻や石灰岩などに多く含まれるもので、自然界に豊富に存在します。
かつては天然の石灰岩を切り出してそのまま使っていましたが、現在のチョークはほとんどが粉末を固めた人工チョークです。
白くなるのは「原料の色」のため
炭酸カルシウム自体がもともと白色の物質なので、
何も色をつけなければチョークは自然と白く仕上がります。
つまり、白いチョークは「染色していない素の状態」と言えるのです。
黒板との相性から白が選ばれた理由
白は黒板に最もよく映える色
黒板といえば黒や緑が一般的ですが、
この背景色に対して最もコントラストが高く視認性が良いのが白です。
たとえば:
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黒 × 白 → 最大の明暗差で視認性抜群
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緑 × 白 → 優しい見やすさ(現代の黒板の主流)
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黒 × 青や赤 → 薄くて見づらい場合が多い
そのため、読みやすさ・書きやすさ・遠くからでも見えることを優先して、白が基本色として定着したのです。
授業の主役は“白チョーク”
特に教師が授業で使うチョークは、板書のベースになるため目立ちすぎず・でもはっきり見える白が最適でした。
カラーチョークは補足説明や強調のために使う“サブカラー”として活用されてきました。
そもそも黒板が黒いのはなぜ?
初期の黒板は本当に「黒」だった
黒板(blackboard)はその名の通り、もともとは真っ黒な板でした。
これは19世紀のヨーロッパで、スレート(黒い石板)をそのまま使っていたのが起源です。
チョークで書くと白い線がくっきり見えることから、黒色が定番となりました。
現代は「緑の黒板」が主流
現在の学校では、黒というより緑色の黒板が多くなっています。
これは、以下の理由から導入された改良です:
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黒よりも目が疲れにくい
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チョークの白がやや柔らかく映える
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教室に明るさと安心感を与える
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とはいえ、緑でも白チョークとの相性が非常に良いため、基本は白が使われ続けています。
なぜカラーチョークが主流にならないのか?
色によっては見えづらい
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黄色や水色は黒板の緑と明度が近く、遠目に見づらい
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赤やピンクは見やすいが、板書全体が読みにくくなる
そのため、色チョークはあくまで一時的な強調や図表の区別用として使われ、
長文や説明のベースとしては白チョークが選ばれてきたのです。
コストや折れやすさの問題も
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カラーチョークは着色材を加えるぶんコストがやや高くなる
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色によっては折れやすくなる特性もあり、実用面で不利
これらの事情もあり、白チョークが標準として今も圧倒的に多く使われています。
実は「ホタテの貝殻」で作られるチョークもある?
近年では環境に配慮した製品として、ホタテの貝殻を原料としたチョークも登場しています。
貝殻も主成分が炭酸カルシウムで、砕いて成形すればチョークとして再利用可能なのです。
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リサイクル素材でエコ
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空気中の微粉が少なく、アレルギー対策にも配慮
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滑らかで書きやすいと評判
このように、白いチョークは自然素材との相性が良く、環境面でも進化し続けているのです。
海外では黒板とチョーク文化が薄れてきている
ホワイトボード&プロジェクターの普及
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アメリカ・ヨーロッパではホワイトボードへの切り替えが進行
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書き直しのしやすさ、埃の少なさ、メンテナンス性の高さが評価
ただし、日本ではまだ多くの学校で黒板が現役で使われており、白チョークの文化もしっかり残っています。
まとめ:チョークが白いのには理由がある
普段何気なく使われていた白いチョーク。
その色には、実はこんなにも多くの意味と理由が込められていました。
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原料の炭酸カルシウムがもともと白い
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黒板(特に緑板)に最も映える色だから
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授業や会議で読みやすく、目が疲れにくい
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カラーチョークは補足用として使い分けられている
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エコ素材でも白チョークが主流になるほど、汎用性が高い
次に黒板とチョークを見る機会があったら、
ぜひ「なぜ白なんだろう?」という目で観察してみてください。
きっと、そこに教育や筆記の工夫と知恵の蓄積が感じられるはずです。