スーパーで売られている卵。
よく見ると、白い殻の卵と茶色い殻の卵の2種類があることに気づくはずです。
「どっちが栄養価が高いの?」「なぜ色が違うの?」「価格の違いって何なの?」
そんな疑問を持ったことがある方も多いでしょう。
実は、卵の殻の色の違いには、鶏の種類や体質、卵の用途や流通戦略など、さまざまな要因が関係しているのです。
この記事では、卵の殻の色の秘密を、ニワトリの体の仕組みや流通の背景と合わせてわかりやすく解説します。
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卵の殻の色が「白」と「茶色」に分かれる理由
結論:ニワトリの品種によるもの
最もシンプルな答えはこれです。
卵の殻の色は、産んだニワトリの品種によって決まっている。
- 白い卵:白色の羽を持つニワトリが産むことが多い
- 茶色の卵:赤茶色の羽を持つニワトリが産むことが多い
これは「殻の色素」の違いで、産卵される直前にニワトリの体内で分泌される色素が、卵の殻に付着して色が付くのです。
色の違いは見た目だけで中身は同じ
卵の黄身の色・味・栄養価には、殻の色による違いはほとんどありません。
色が違っても、中身の構成は同じなのです。
どんな品種がどの色の卵を産むのか?
白い卵を産む代表的な品種:白色レグホーン
- 白い羽と白い耳たぶを持つニワトリ
- 体が比較的小柄で、産卵能力が高い
- 日本のスーパーで最もよく見かける「白卵」の主力品種
このレグホーン種は、飼料効率がよく、大量生産に向いているため、コストを抑えた卵の供給源として広く普及しています。
茶色い卵を産む代表的な品種:ボリスブラウンやロードアイランドレッド
- 赤茶色の羽を持ち、耳たぶも赤っぽい
- レグホーンより体が大きく、落ち着いた性格
- 「赤卵」としてやや高級志向・ブランド化されていることも
これらの品種は、飼料効率がやや低めでコストも高め。
そのため、赤卵は白卵より価格が高めになる傾向があります。
なぜ「耳たぶの色」で卵の色がわかるのか?
ニワトリに“耳たぶ”?それって「とさか」のことじゃないの?
こう思った方も多いかもしれません。
実は、「とさか」と「耳たぶ」はまったく別の部位です。
- とさか(鶏冠)は、ニワトリの頭の上にある赤い突起で、体温調整や性成熟のサインとして知られています。卵の色とは関係ありません。
- 耳たぶ(耳朶・じだ)は、顔の横、目の後ろあたりにある小さな柔らかい肉の部分。この色が、ニワトリが産む卵の殻の色と深く関係しているのです。
実際の色と卵の関係
- 白い耳たぶのニワトリ → 白い卵
- 赤い耳たぶのニワトリ → 茶色い卵
もちろん例外もありますが、品種ごとにほぼこの傾向が当てはまるため、養鶏の現場では耳たぶを見て産卵される卵の色を予想するのが一般的です。
茶色い卵の方が高いのはなぜ?
品質が高いわけではなく「コスト」の違い
赤卵(茶色い卵)が白卵より高めに販売されているのは、主に以下の理由です:
- 赤玉を産む品種の鶏は体が大きく、飼料代が多くかかる
- 産卵数がやや少なめ
- 品質よりもブランド化・差別化商品として流通している
つまり、中身の差よりも“生産背景”の違いが価格に反映されているのです。
色の違いによって栄養や味は変わるのか?
殻の色による違いは基本的にない
卵の中身の栄養素(たんぱく質、脂質、ビタミン類など)は、殻の色には関係ありません。
違いが出るとすれば、以下のような要因によるものです:
- 飼料の内容(トウモロコシ多めなら黄身が濃くなる)
- ニワトリの健康状態や育成環境
- 保存期間や鮮度
つまり、「茶色い卵は栄養価が高い」といった印象は、消費者のイメージにすぎないのが実際のところです。
他にも存在する?珍しい卵の色
青い卵:アローカナ
南米原産の「アローカナ」という品種は、なんと青緑色の殻の卵を産みます。
- 殻の色は天然で、添加物などは一切なし
- 色素は胆汁色素「ビリベルジン」によるもの
- 高価で贈答用や高級卵として販売されることも
日本でも一部の農場で生産されており、「青い卵」としてブランド化されている例もあります。
海外ではどんな卵の色が主流?
- アメリカ:白卵が多い(レグホーン系)
- ヨーロッパ:茶色い卵が主流(赤卵系)
- 韓国・中国:両方流通しているが茶色優勢
国や地域によって卵の色に対する好みや信頼感が異なるため、
流通する品種も文化的に左右される傾向があります。
たとえばフランスでは、白い卵は「安すぎて信用できない」と敬遠されることもあります。
まとめ:卵の殻の色にはニワトリの個性が現れていた
殻が白か茶色か。
普段気にせず手に取っている卵ですが、その違いにはニワトリの品種・体質・育て方など、たくさんの要素が詰まっていました。
- 白卵は白い羽と耳たぶのレグホーン系ニワトリが産む
- 茶色卵は赤い羽と耳たぶの品種が産む
- 殻の色は中身の栄養や味には関係ない
- 価格差は飼育コストやブランド戦略によるもの
- 珍しい青い卵も存在し、高級品として人気
次にスーパーで卵を手に取るときは、その色の裏にあるニワトリの物語にもぜひ思いを馳せてみてください。