🤔 「また私が幹事ですか?」新人・佐藤のモヤモヤ
4月に入社して半年。新人の佐藤は、またしても会社の飲み会の幹事を任された。前回も、前々回も、そしてその前も幹事。業務以外のこの“役割”が、なぜいつも自分に回ってくるのか、内心モヤモヤしている。
同僚に聞くと「若手がやるもんだよ」「いい経験になるよ」と言われるが、具体的な理由は誰も教えてくれない。もはや伝統のように続いているこの“幹事=若手”の図式には、一体どんな背景があるのか?
この記事では、飲み会幹事が若手に偏る理由と、その背景にある職場文化や心理、そしてこれからの変化の兆しについて解き明かしていく。
🍻 飲み会幹事=若手、は本当に当たり前?
まず大前提として、「飲み会の幹事は若手の役目」とされる風潮は、実際に多くの職場で見られる。しかし、それは業務マニュアルに明記されているわけでも、法律で決まっているわけでもない。
ではなぜ“暗黙の了解”のようにして、新人や若手社員が飲み会幹事を引き受ける流れになっているのだろうか?
⚠️ 原因1:先輩たちもやってきた“文化の継承”
多くの職場では、「自分も若い頃やってきたから」という理由で、幹事を若手に振る文化がある。
「これも社会勉強だからな」
というフレーズを使って正当化されることも多く、言われた側は「断りづらい」「経験と思ってやるしかない」と受け入れてしまう。
これはいわば“見えないルール”の継承であり、無自覚な形で次世代に受け継がれているものだ。
☑️ 原因2:「若い方がノリがいい」という思い込み
幹事には、会場選び、人数調整、上司への気配り、乾杯の段取り、締めの挨拶など、コミュニケーション力と段取り力が求められる。
この役割を若手に任せるのは、
- SNSやアプリの利用に慣れていて予約が早い
- 新しい店に詳しい
- フットワークが軽く、動いてくれそう
といった、世代に対するステレオタイプな期待からくるものだ。
しかし実際には、そういったことが苦手な若手もいるし、ベテランの方が段取り上手というケースも少なくない。
🏛・️ 原因3:職場のヒエラルキーと“忖度”
上司や先輩に「幹事やってよ」と言われたら断りづらい。
特に新人は評価を気にして、頼まれたらつい「はい!」と返事してしまう。
- 上司からの指示に逆らいづらい
- 空気を読んで動いてしまう
- 「断ったら評価に響くかも」という不安
といった“忖度”や“同調圧力”が、幹事役を若手に固定させている側面がある。
また、誰も「じゃあ自分がやるよ」と名乗り出ないことで、暗黙的に「若手がやるべき」という空気が強化されてしまうのだ。
🤔 実はリスクも?若手幹事の苦悩
幹事の仕事は思いのほか大変だ。
- 会場の空席状況や予約システムの確認
- 上司や先輩の予定確認、返信が遅い人へのリマインド
- アレルギーや好みに配慮した料理の選定
- 当日の進行とトラブル対応
すべて仕事の合間を縫って進める必要があり、業務外の負担が大きい。
さらに、
- 「料理が微妙だった」「駅から遠い」などのクレーム
- 飲み会に来ない人への気遣い
- 飲みすぎてトラブルを起こす人の対応
など、責任だけは大きいが、感謝されないことも多い。
若手にとっては、「なんで自分が?」という疑問とストレスの原因になりやすい。
⚡️ 「学びの機会」でもあるけれど
一方で、幹事の仕事は
- 段取り力
- 調整力
- 人間関係の観察力
- 緊急時の対応力
など、ビジネススキルの向上につながる一面もある。
「やってよかった」と感じる若手も一定数いるのは事実だが、“成長の機会”として正しく支援されていればこそ。
幹事役を「丸投げ」「押し付け」にしてしまえば、それは単なるパワハラに近い形にもなりかねない。
🙏 上司・先輩ができるサポートとは?
幹事を任せるなら、上司や先輩が以下のような支援をすることで、若手にとってもプラスの経験になる。
- 明確な予算と目的を伝える
- 店の候補を一緒に探す
- 参加者の調整をフォローする
- トラブル時に助け船を出す
「若いからできるでしょ」と丸投げせず、“学ばせる”立場として関わる姿勢が求められる。
また、幹事が終わった後に「よくやったね」「ありがとう」と一言添えるだけで、次回も前向きに引き受けてもらえるかもしれない。
🚀 変わりつつある“幹事文化”
最近では、飲み会自体が減った職場も多い。テレワークの浸透や若手の価値観の変化もあり、無理に飲み会を開く空気がなくなってきている。
また、こんな新しい取り組みも増えている:
- 幹事は持ち回り制にする
- 外部の飲み会サポートサービスを利用する
- 有志が立候補するスタイルに変更
- 業務時間内に軽食付きの交流会を開催
これにより、「幹事=若手」という古いルールを見直す動きも出てきた。
🔎 今後、幹事はどうあるべきか?
飲み会の幹事は、単に面倒な雑用ではなく、職場の風通しを良くする潤滑油的な役割もある。
だからこそ、
- 誰がやっても支障のない仕組み
- お互いを思いやる文化
- 感謝と労いを忘れない風土
が大切だ。
「若手がやるもの」と思考停止せず、時代に合ったやり方を模索していくことが、職場全体の雰囲気にも良い影響を与えるだろう。
📅 まとめ:幹事役に隠された“組織の鏡”
飲み会の幹事を誰がやるか──
それは小さなことに見えて、職場の価値観や上下関係、文化を反映した“組織の鏡”でもある。
若手が不満や疑問を感じながら幹事を続けている職場は、一度そのやり方を見直すタイミングかもしれない。
幹事が誰にとっても「嫌な仕事」ではなく、「自分なりにやってみよう」と思えるような仕組みや支援があれば、職場の空気もより健やかなものに変わっていくだろう。
次に幹事を任されたら、「またかよ」と思う前に、「なんで毎回自分なんだろう?」と、少し立ち止まって考えてみてほしい。
その答えに気づいたとき、きっとあなたの中の“職場の見え方”も少し変わってくるはずだ。