「この椅子、ちょっと明るすぎない?」
ある日、新しく入った社員が、オフィスに並んだグレーとライトブルーの椅子を見てつぶやいた。以前働いていた会社では、ずらりと並ぶ椅子はすべて黒。無機質で無難。でも、どこか安心する。そんな「黒」のオフィスチェアが当たり前だったという。
ところが最近のオフィスでは、白、グレー、ネイビー、さらには鮮やかなオレンジやグリーンの椅子まで並ぶことも。いったい何が変わったのか?そして、それによってどんな影響があるのか?
本記事では、オフィスチェアの色の変化の裏にある背景と、メリット・デメリット、そして働き方との関係について探っていきます。
黒い椅子が選ばれてきた理由
もともと、黒い椅子が多かった理由はシンプルです。
- 汚れが目立たない
- 落ち着いた印象を与える
- どんな内装にも合いやすい
- 大量導入の際にコストが安定している
とくに「汚れが目立たない」というのは、数十人~数百人規模のオフィスにとって重要な要素でした。どんな人が、どんな服装で座っても、長時間使っても「くたびれた印象」を避けられる黒は、メンテナンス面でも有利だったのです。
また、黒には「フォーマル」「真面目」といった心理的印象があるため、ビジネスシーンには最適とされてきました。
黒以外の椅子が増えてきた背景
それでは、なぜ最近になってカラフルな椅子が増えてきたのでしょうか?
背景にあるのは、働き方そのものの変化です。
ストーリー:椅子の色が変わったオフィスでの会話
ある日、新しく導入された青とオレンジの椅子を前に、総務部の主任とデザイン部の社員がこんな会話をしていました。
「このオレンジの椅子、最初は派手かなと思ったけど、意外と落ち着きますね」
「そうなんです。集中力を高める色として導入してみたんですよ。グループワークのエリアだけ、あえて色を変えてるんです」
このように、用途ごとに椅子の色を変えることで、エリアの用途や心理的区切りを作るという工夫も広がってきています。
さらに、次のような要因もあります:
- 働き方改革による「自由な雰囲気」の演出
- 若い世代に合わせた、柔軟で開放的な空間づくり
- チームごとのゾーニング(色分け)
- スタートアップ文化の影響によるカジュアル化
カラフルな椅子のメリット
カラフルな椅子を導入することには、多くのメリットがあります。
- オフィスが明るくなり、雰囲気が柔らかくなる
- チームや部署ごとに色分けしやすく、視認性が高まる
- 座る場所を自由に選ぶ“フリーアドレス”にも対応しやすい
- 気分や用途に合わせて色を選べる楽しさがある
特に、働き方の多様化が進む中で、従来の「固定席・黒の椅子・黙々と作業」というスタイルから、「必要な場所に移動し、自由に働く」スタイルへ移行している会社も増えています。
デメリットや注意点は?
もちろん、すべてがポジティブとは限りません。カラフルな椅子にも課題があります。
- 汚れや劣化が目立ちやすい
- 色の組み合わせ次第では、空間が落ち着かなくなる
- リモート会議での背景として浮いてしまうことも
例えば、オレンジや赤といった明るい色は元気さや活動的な印象を与える一方で、長時間の集中作業には不向きな場合もあります。
また、家具や壁紙、床との調和が取りにくいと感じる人もいます。
ワークスタイルの変化が色選びに影響
- フリーアドレス
- フレックスタイム制度
- 在宅勤務とオフィス出勤のハイブリッド化
こうしたワークスタイルの多様化にともなって、「オフィスは単なる作業場ではなく、コミュニケーションと創造の場」へと変化しつつあります。
椅子の色はその象徴です。
企業によっては、社員に椅子の色を選ばせたり、プロジェクトチームに合わせて「色から設計する」オフィスづくりを始めたりしています。
まとめ:椅子の色が語る、これからの働き方
かつては無難でフォーマルな黒一色だったオフィスチェア。
しかし今、その色に変化が訪れています。それは単なるデザインのトレンドではなく、働き方の多様化や心理的安全性を重視する社会の変化を映し出すものです。
もしあなたのオフィスに明るい色の椅子が導入されたら、それは「自由に発想し、のびのびと働こう」というメッセージなのかもしれません。
次にオフィスで椅子に座るときは、色がもつ意味にちょっとだけ目を向けてみてはいかがでしょうか?