お財布の中に入っているICカード、ポイントカード、クレジットカード──それらの角をじっくり観察したことはありますか?どのカードも、不思議と角が丸く加工されていることに気づくはずです。
実はこの“角の丸み”には、ただのデザイン以上の意味があるのです。本記事では、カードの角が丸い理由とそこに込められた機能性、安全性、そしてユニバーサルデザインとしての役割について掘り下げて解説します。
🔍 カードの角が丸いのはなぜ?
カードの角が丸い理由には、以下のような実用的な意味があります:
✅ 1. 安全性のため
カードの角が尖っていると、手や指を切ってしまったり、衣類やバッグの中身を傷つけるリスクがあります。特に子どもや高齢者が触れる可能性がある場面では、“刺さらない形”が重要になります。
角を丸くすることで、そのような事故を未然に防ぐことができます。
✅ 2. 耐久性が上がる
角が尖っていると、落としたときや財布の中での擦れによって欠けたり折れたりしやすくなります。角を丸めることで、そうした物理的ダメージを軽減し、カードの寿命を延ばすことができます。
✅ 3. 出し入れがしやすい
財布やカードケースのポケットにスムーズに入れたり、取り出したりするには、角が引っかからない形状が望まれます。丸い角は滑りを良くし、ストレスなく使える形としても優れています。
✅ 4. デザインと心理的効果
人間は、丸いものに対して“やさしい”“安心できる”という印象を抱きやすいとされます。カードの角が丸いのは、手に取ったときの心理的な「安心感」や「親しみやすさ」を意識したプロダクトデザインの一面もあるのです。
🌐 カードサイズの国際規格「ID-1」とは?
ほとんどのICカードやポイントカード、クレジットカードは、実は同じサイズで作られています。
これは、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が定めた「ID-1」規格(ISO/IEC 7810)」に基づくものです。
🔢 規格の具体的な数値
- サイズ:85.60mm × 53.98mm
- 厚さ:0.76mm
- 角の丸み:R=3.18mm(半径)
このサイズは、世界中で流通するカードに広く採用されており、読み取り機・ATM・レジのカードスロットなどとの互換性を保つための基準になっています。
💡 ユニバーサルデザインとしての「角丸」
角が丸い形は、単なる見た目の工夫ではなく、すべての人が使いやすいことを目指す「ユニバーサルデザイン」の一環でもあります。
👴 高齢者への配慮
指先の力が弱くなったり、感覚が鈍くなりがちな高齢者でも、丸みのあるカードは持ちやすく、扱いやすいというメリットがあります。
👶 子どもにも安全
おもちゃや教材としてICチップ付きカードが用いられる場面も増えており、小さな子どもが触れても安心なように、角の丸みは非常に重要です。
♿ バリアフリー社会の一部
交通系ICカードなどは、視覚障害者や高齢者でも使いやすいように、点字やICの位置が工夫されていることもあります。角の形状もその延長にあるといえるでしょう。
🏭 なぜすべて同じサイズ・形なの?
カードが共通の形をしている理由は、流通・保管・読み取りの3つの効率を高めるためです。
👜 保管しやすい
財布やカードケースは、この「ID-1」サイズに合わせて設計されています。形が異なれば、持ち運びも収納も不便になります。
🖥 機器との互換性
ATM、改札機、POSレジなど、あらゆるカード読み取り機器はこのサイズを前提に設計されています。カードごとにサイズが違っていたら、誤作動や読み取りエラーの原因になります。
🔄 交換・再発行のしやすさ
例えばICカードの再発行やポイントカードの更新時にも、同一サイズ・同一規格であることで印刷・製造工程が標準化されており、コスト削減にもつながっています。
🎨 特殊な形のカードもある?
実は、あえて「丸くない」「違う形」のカードも存在します。たとえば:
- キーホルダー型ICカード(小型・非接触)
- 丸型会員証(デザイン重視・イベント限定)
- 変形プロモーションカード(販促・ノベルティ用途)
こうしたカードは、機能性よりもデザイン性や話題性を重視しているため、特殊な形状でも許容されています。ただし、通常のカードリーダーとの互換性は低く、汎用性に欠けるというデメリットもあります。
✅ まとめ
ICカードやポイントカードの角が丸いのは、単なる美的センスではなく、安全性・利便性・国際規格・ユニバーサルデザインといった多くの要素が絡み合った結果です。
毎日手にするカードに、ここまでの「気づかれない気配り」が詰まっていたことを知ると、何気ないプロダクトにも深い意味があることに気づかされます。
次にカードを手にするとき、ぜひその角の丸さに少しだけ注目してみてください。