私たちが毎日使っているトイレットペーパー。
お店に並んでいるものを見ると、ほとんどが真っ白ですよね。
「白いほうが清潔そう」
「肌に触れるものだから白が安心」
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
でも、ふと考えてみると疑問が湧きませんか。
なぜトイレットペーパーは、ここまで白い必要があるのか。
そして、
白いほど本当に“清潔”と言えるのか。
この記事では、
トイレットペーパーが真っ白になった理由と、
「白=清潔」というイメージの裏側にある意外な雑学を、
わかりやすく解説していきます。
トイレットペーパーが白いのはなぜ?

結論から言うと、
トイレットペーパーが白いのは、
清潔さを“見た目で伝えるため”です。
原料となる木材パルプは、
もともと薄い茶色や黄土色をしています。
紙をそのまま作れば、
いわゆる「クラフト紙」のような色になります。
それをあえて真っ白にしているのは、
漂白という工程で色を抜いているからです。
つまり、
トイレットペーパーの白さは、
素材の色ではなく、後から作られた色
ということになります。
昔のトイレットペーパーは白くなかった
実は、
トイレットペーパーが今のように白くなったのは、
それほど昔の話ではありません。
昔は、
-
少し茶色がかった紙
-
再生紙で作られた灰色っぽい紙
なども普通に使われていました。
それでも特に問題なく、
「不潔だ」と強く意識されていたわけではなかったのです。
では、なぜ白が主流になったのか。
理由のひとつが、
白=清潔・安心というイメージが広まったからです。
生活が豊かになり、
衛生意識が高まる中で、
「白い紙のほうがきれいに見える」
「肌に触れるものは白がいい」
という感覚が、
徐々に当たり前になっていきました。
白さは「清潔」ではなく「漂白の結果」
ここで大事なのが、
白い=清潔というわけではないという点です。
トイレットペーパーの白さは、
雑菌が少ないから白いのではなく、
漂白して色を抜いているから白いのです。
漂白の目的は、
-
見た目を良くする
-
色ムラをなくす
-
商品としての統一感を出す
といった、主に見た目と品質の安定。
もちろん現在は、
環境や安全に配慮した漂白方法が主流で、
基準を満たした製品であれば
日常使用で問題になることはほとんどありません。
ただし、
白いから清潔、
白くないから不潔
という単純な話ではない、
というのがポイントです。
白くするほど「加工」は増える

もうひとつ意外なのが、
より白くしようとするほど、加工工程は増えるということです。
もともと色のついたパルプを、
-
何度も洗い
-
漂白し
-
色を抜いて
ようやく、あの真っ白さになります。
つまり、
自然な状態の紙からは、
白いほど遠ざかっている
とも言えるのです。
「白い=何もしていない」ではなく、
実際には手が加えられてできた白さ。
ここに、イメージとのズレがあります。
昔は色付きトイレットペーパーも普通だった
今ではあまり見かけませんが、
一時期、トイレットペーパーには、
-
ピンク
-
水色
-
黄色
-
柄入り
などの色付きタイプが多くありました。
トイレ空間を明るくする、
インテリアの一部として楽しむ、
そんな目的で選ばれていたのです。
しかし次第に、
-
色落ちの心配
-
染料や香料への不安
-
肌トラブルの懸念
-
そして「白=清潔」という意識の定着
こうした理由から、
無地で白いタイプが主流になっていきました。
機能面とイメージの両方が、
白一択へと流れを作ったのです。
無漂白や再生紙は「不潔」なのか?
最近では、
-
無漂白タイプ
-
再生紙を使ったタイプ
など、
少し茶色がかったトイレットペーパーも見かけます。
見た目だけで言えば、
「白いほうがきれい」と感じる人もいるでしょう。
でも実際には、
色がついているから不潔、
白いから衛生的、ということはありません。
これらの製品も、
製造段階で衛生管理がされ、
基準を満たして出荷されています。
むしろ、
-
漂白工程が少ない
-
環境負荷が低い
といった面では、
“自然に近い紙”と考えることもできます。
なぜ私たちは「白=清潔」と感じるのか

ここまでを見ると、
白さそのものが清潔さを保証しているわけではないとわかります。
それでも私たちが白を見ると、
-
きれい
-
安心
-
汚れていない
と感じてしまうのは、
色が持つ心理的な効果が大きいからです。
白は、
-
汚れが目立つ
-
混じり気がない
-
新しい
といった印象を与える色。
そのため、
白い=清潔そう
と、無意識に結びつけてしまいます。
トイレットペーパーの白さは、
こうした心理にも支えられて、
「安心できる商品」として定着してきたのです。
まとめ|白さは“安心のサイン”であって“清潔の証明”ではない
トイレットペーパーが真っ白なのは、
-
原料が白いからではなく
-
清潔だからでもなく
漂白によって、
“清潔そうに見える白さ”を作っているからでした。
そして、
-
白いほど加工は増え
-
色がついているからといって
不潔というわけでもない。
つまり、
白さは「安心のサイン」ではあるけれど、
清潔さそのものを保証するものではない
ということです。
次にトイレットペーパーを手に取ったとき、
その白さを見て、
「これは“見た目の清潔さ”なんだな」と思い出してみてください。
身近すぎて考えもしなかった紙の色にも、
こんな背景が隠れていたのです。
それが、
トイレットペーパーの白さにまつわる雑学です。


